校 庭 二 題

 校 長  島守 武

  早朝の校庭には表情があります。

  子どもたちの無数の足跡と風雨が作る模様を見ることができます。学年入り交じり挨拶を交わしながらの朝マラソン、紅白帽が躍動する体育の授業、我先にと飛び出す休み時間、指導者と部員の声が絶えない部活動など、校庭は子どもたちと共にあった一日を見届けているようです。

  時として、朝校庭がきれいにならされており、はっとすることがあります。高校の野球部が練習を終えた後の野球場を見るようなさわやかな気持ちになります。校庭を借りて早朝ソフトボールに汗を流している学区のみなさんの手に掛かっているのです。この方々の姿を見ることができるのはほんの数人です。学校が開く時間には自宅に戻り、出勤の準備などあわただしい朝の時間を迎えていることでしょう。1分1秒を惜しむ中で、後始末を怠りないように共同で作業を進めておられるに違いありません。

  休日、当直員の田村さんから電話がありました。

  本校の卒業生であることを話し、校庭をサッカーの練習に使わせていただきたいとお願いされたとのことです。校舎内には入らないほか決して迷惑はかけませんと強く言っている、と田村さんは彼等の気持ちを伝えようとしていることがよくわかります。平成3年度卒業生ですから24、5歳の若者が10名ほど。代表者の名前と連絡先を書いてもらうことで使用を許可しました。翌日、校庭は隅々までレーキの目が行き届き、丁寧な仕事ぶりに気持ちが高ぶりました。職員室の机の上には田村さんからの報告メモがありました。「私が何にも言わないのに、終わったら校庭をきれいにならしていました。帰りにきちんとお礼を言いに来ました。今度使いたいときには、前もって校長先生にお願いしなさいと言っておきました。」

  「ほんとうに大切なことは見えないものだよ。」

  「星の王子さま」の一節を改めて噛みしめました。